12月に新刊が出ます!
幻冬舎時代小説文庫さんから、「天文御用十一屋 花の形見」。
お手にとっていただければ、幸せです。
一巻目との間が一年以上あいてしまったのですが、ようやく、シリーズ二冊目が出せます。久しぶりに宗さん&小次郎のコンビを書けて、とても楽しかった!
といいつつ。
実は、「宗さん」を書いたのは、あまり久しぶりではないという。
お気づきの方も多いかと思いますが、5月に出した、左近さんの新シリーズ「左近・浪華の事件帳 遠き祈り」。
そのなかに、大坂一の蘭学者・橋本曇斎という男が出ておりまして。これが、「十一屋」シリーズの「宗さん」こと「橋本宗介」の三十年弱後の姿だったりします。
「宗さん」は、いわずもがな、大坂蘭学の祖ともいわれる実在の学者「橋本曇斎」がモデル。もちろん、あれこフィクション成分の多いキャラクターではあるのですが(「洪庵シリーズ」における「章」と比べても、三割増しでフィクション比率が高いです)、「曇斎」さんが天游先生の師匠である、というのは史実。「遠き祈り」の元ネタになったキリシタン事件で捕らえられた某蘭学者が「曇斎」さんの弟子だったのも史実です。
私は江戸時代の大坂の町がとても好きで、あれこれと物語を書いていますが、そのなかでも、妙にハマってしまってしつこく登場する人たちがいまして、それが、たとえば「大塩平八郎」だったり、「学問界隈のひとたち」だったり、「鴻池一族」だったりします。ハマったきっかけはそれぞれなんですが、ともかく、調べれば調べるほどハマる。おもしろい史料がどんどん出てきて、いろんな方向から書きたくなる。
……もちろん、私は史実に忠実に書くタイプの作家ではないので(そもそも天王寺楽人がアレですから)、「大塩」も「学者」も「鴻池」も、それなりのフィクション成分で成り立ってます。作品によっても成分比率は違いますし。
でも基本は、史料を読んでいて、「この人たち、面白い」とハマったのがはじまり。史実のひとたちを知って、ハマって、「私が物語に描くとしたら……」と練り直して書いたのが、「十一屋」であり、〈在天別流〉であり、鴻池一族であり、緒方章であり、橋本曇斎であり、大塩平八郎であり、真田大助なのです。それぞれの、史実部分、物語部分、両方ともに楽しんでもらえたら、幸せです。
新刊の詳細情報は、また後日!