長い一年が終わりに近づいたので区切りに少し、語ってみます。
個人的なことばかりですけれど、今年は、「こんな年なのに、自分のことしか考えられなかった」ことを含めて、重い一年でもあったので。

今年は、個人的に、辛い一年でした。

このブログにも、なんだか遠回しにアレコレ書いておりました。はっきり書く覚悟がないのにウダウダとすみません。
ここにはなるべく、小説に関係ないことは書かずにいようと思っていたのですが、去年の秋以降、「つきやまのその後が非常に気になるんだけど直接コンタクトしづらい」、という知人が、このブログで安否確認をしてくださっているのが自覚できていたので、仕事用のブログというよりは、そういう方々への定期連絡のつもりで、無理矢理にでも、ときどき「元気ですよ」と書くことを心がけておりました。

……が、実際には、ここに元気っぽいことを書くたびに、「ホントに元気なわけじゃないのに……」と感じてしまって反動で元気がなくなる……ということを繰り返しておりまして、さすがにソレも阿呆やなと思って、しばらく更新休止したりもしました。

もっともキツかったのが、五月の新刊を出したあと、夏の終わりまで。
今から思えば、その頃の私はまだ、本を出すという行為にくっついてくる社会的な活動に耐えられるほど、エネルギーが回復していなかったのだと思います。原稿を仕上げられたところまでで、ギリギリだった。その状態で二冊一度に出したのは、ちょっと無謀でした。

刊行後、普段だったら聞き流せるようなことが聞き流せなかったり、気にせずにいられることが気になってしょうがなかったり。慣れたはずの「本を出す」ことが、とても辛くなってしまいました。小さなことが重なって、どんどん沈んでいって、お盆明けには(ここに、無理して強がった記事を書いた直後)、とうとう身体的にダウンして寝込んだりもして。体調管理ができなかったというのも、今年の反省点です。ほんと、ダメ人間でした。

秋に、転居しました。
関西に、戻ってきました。
懐かしい町で、暮らしています。

「天文御用十一屋」の新作は、ホントに楽しんで仕上げることができました。
本を出すことは、やっぱり楽しいばかりではなくて(「小説を書く」ことならば、純粋に楽しいようにも思いますが)、しんどかったり、落ち込んだりしますけど、でも、幸せなことはそれ以上にあります。読者さんから嬉しい感想をいただいたり、新刊告知が出たときに「楽しみ」と言ってもらえたり、新しい仕事を応援してくださる方と出会えたり。あと、たとえば、ごく最近のことですが、脳内で考えたことはあったけど文字にはしていなかった場面が、なぜか表紙絵のラフになって出てきたときなんかは、嬉しくてどうしようかと思ったりしました(イラストレーターさんが想像してくださった場面が、私の脳内とびっくりするほど一致してたのです)。

今年の秋、信頼できる友人に、「もう回復して全力疾走できると思っていても、たぶん、車輪を支える土台はそう簡単には傷が治ってない。その状態でいきなり飛ばさないほうがいい。しばらくは気をつけながら走ったほうがいい」と言われまして。

今から思えば、夏頃までの私は、去年の秋にぽっきりと車軸が折れたままなのに、ガムテープで補強した程度で全力疾走をしようとして、結果として車体が大破して動けなくなった……んだろうなと。

今なら全力疾走できるかどうか、それは判りませんけど。
でも、走らなくても生きてはいけるけど、やっぱり走りたいです。

この一年、悩み抜いたことの一つが。「私は誰のために小説を書いたらいいのか」ということで。それは、これまで私が「このひとのために」とかなりの比重で思っていたひとを失ったことから生まれた悩みだったのですが。

今は、「私自身のために」。
そして、「私の本を楽しんでくれる方のために」。
書きたいと思っています。

五月に二冊、本を出したあと、しんどい時期ではありましたけど、そのなかで、デビュー作の文庫化を待ってた、左近さんとの再会を待ってた、〈在天別流〉が好きだ、という方々の声が、本当に嬉しかった。
ホントに辛くて、もうダメだー、と泣き言を言っていたら、担当さんが、読んでくださった方のブログなどからそういう声をいくつか探してきてくださいまして。それを印刷してファイルして、「小説」に向き合うことがどうしようもなく辛いときには読み返していました。心の支えでした。
その「支え」になってくださった方々に直接、お礼が言えないので、この場を借りて。
ありがとうございます。次の本も、楽しんでいただけたら幸せです。

来年は、がんばって書きます。
じっくり落ち着いて書きたい話もあるので、量的にはどうなるか判りませんけども。

とりあえず、今、刊行待ちの原稿が一つあって、これは予定通りに行くなら、2月に出ます。もう校正も進めているから、書いちゃってもいいかな……左近さんの話です。ずっと前から書きたかった話がやっと書けました。

今年は……コレも、正直なところを書いてしまいますが、いろんな事情があって、予定していた順番通りに作品が仕上げられませんでした。担当の編集者さんにもご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした。幸いなことに、今、予定をたてている原稿はすべて、「書きたい度」に優劣がないので、後回しになっているもののほうが愛情が薄いということは全くないんですが、もたもたとつまずきながら暮らすなかで、いろんな要素が絡まり合って、出せたものと出せなかったものができてしまいました……。

今後、どれだけの物語を活字化できるか、あるいは、物語として発表できるか、判りませんが。
頭のなかにある物語を、悔いのないように書いていきます。
小説を書くことが、私はとても好きです。

これは春頃に一度、ここに書いた決意なんですが。今も、改めて同じことを思っているので、もう一度、書いてみます。

私は人生を何十年単位で考えるのはやめました。何十年ぶんかの自分の未来を思い浮かべることをしなくなったら、逆に、目の前のことを前よりずっと切実に感じられるようになった気がします。いつか書きたいものがあるなら、今、書けばいいし、書いた方がいい。明日、我が身に何かが起きるとしたら、書ききれなくていちばん悔やむのは何か。考えながら書いていきます、これから。

今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。

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