「蘭 緒方洪庵・浪華の事件帳」、先月31日の千葉松戸市公演と、翌9月1日の東京立川市公演、続けて観劇してきました。

初日とくらべて、また少し変わったところもありまして、楽しかった!
毎回、劇場が違うので、その変化もおもしろいです。

再演で初めて「蘭」を見たという知人に、「原作と全然違うね」と言われまして、あらためて、そうなのかなと思ったりしました。まあ、私が書いた小説には、「喜劇」の要素はほとんどないので、おもにその辺りのことかなと思います。私がその「違い」の衝撃を乗り越えたのは初演のときなので、今回は素直に「これが『蘭』だから」と受け止めておりますが、もしかしたら、やっぱり「違う」のかもしれない。

でも、とにかく、私は「蘭」が好きで、とんでもない治療をなさるおさだ先生や、ドタバタかけまわる手先の半治さんや、愉快なケモノ一家や、再演でもやっぱりただでは死なない加島屋さんの引き起こす笑いがとても好きです。もちろん、キメるとこキメてくれるみなさんのかっこいい&泣ける場面は、たまらなく好き。松戸、立川公演でも、一緒に見た編集者さんと、「一回見るたびに残り回数が減っていくのがさびしい」と話していました。体力がもっとある時期だったら、遠方への遠征もチャレンジしたかったなあ本当は。

そういえば、舞台上で章と耕介のやりとりを見ていて、ふと思ったことなのですが。史実では、この二人、数年後に天游先生が亡くなったあと(悲しいことですが、江戸への旅立ちが師弟の今生の別れになります)、一緒に長崎に蘭学修行に行くのです。師匠の死を知っていったん江戸から大坂に戻った章と、親の後を継ぐにはまだキャリアが足りなかった耕介とが、一緒に。

「蘭」の章と耕介が長崎まで一緒に旅をしたら、楽しそう。にっこり笑顔の絶えない珍道中になりそうです。

「蘭」一座のみなさまは、昨日の神戸公演を終え、続いて、天草、鹿児島、名古屋、金沢、岡山、そして、千穐楽の大阪まで旅をされます。どうぞ、最後まで、どなたも体調を崩されることのありませんように。松竹座でお待ちしております!

この楽しいお芝居が、一人でも多くの方に見ていただけますように!

……と、さっき、ここまで書いて、いったん記事をUPしたんですが、あとから気になりましたので、つけたしです。

ええとですね。「違う」部分もたくさんありますけど、「違わない!」と作者が思ってる部分もたくさんあります。章と左近の心の動きが感じられる場面とか、〈在天別流〉の華麗な殺陣とか、左近の生演奏の龍笛とか!たくさん!あります!
たとえば、〈在天別流〉のアクションが見たい!という方にも自信を持っておすすめいたします。
あと、高麗屋の饅頭を左近や若狭の手から受け取りたい方も。チャンスがあるかもしれません!ぜひ、劇場へ!