秋晴れの大坂城。

お声をかけていただいて、大阪平成中村座に行ってきました。なんと、初日。
大阪城西の丸庭園に、江戸時代を模した芝居小屋を建て、歌舞伎が上演されているのです。天守閣との位置関係は、こんな感じ。

大阪では五年ぶりの催しです。
小屋のなかは、江戸時代風のつくり。

舞台のいちばん近くは平場で、座椅子の席。私はその後ろの椅子席で見させていただきました。全体にこじんまりとしていて、客席が少ないわけではないけれど、舞台との距離がとても近いです。

見たのは夜の部で、演目は「俊寛」と「盲目物語」。前者は近松門左衛門の義太夫狂言、後者は谷崎潤一郎の小説がもとの演目。後者は豊臣秀吉の話なので、大坂城にも縁があります。

橋之助の「俊寛」よかったなあ。この演目、見たの、何度目かなんですけど、今回、すごく好きになりました。「盲目物語」のほうは、最後に、平成中村座ならではの仕掛けがありまして、舞台後ろの壁が開き、大坂城天守閣が見えるのです。不思議なくらい、近くに見えます。ライトアップされて美しい。さらに、もっと驚く仕掛けがありまして……これネタバレなので、未見でなおかつこれから見る予定の方は続きは読まないでください。よろしいですか? ネタバレですよ。……ええと、天守閣を見上げるような形で、亡き勘三郎さんの映像がね、浮かび上がるんですよ。その瞬間、小屋がどよめきました。拍手も鳴り止まず。五年前の興行のときに、また帰ってくると約束されたという勘三郎さん。なんかこう……小屋全体が、特別な空気に包まれました。盛り上がったというのも変だし、感動したっていうような安いもんじゃないし、近くの席の方は号泣してらしたし……でも良い空気でした。それは確か。

芝居小屋のあちこちに、目があるんです。十八代目勘三郎さんの目。「隠れ勘三郎」という、ディズニーランドの「隠れミッキー」的な。その一カ所が、小屋の正面の、ここにあります。

拡大すると、ここ。

勘三郎さんはいつも見守っているよ、という思いのこもった演出だそうです。十八代目にちなみ、十八カ所あるそうですが、私は二カ所しか判らなかった。

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