近所の桜がもうこんなに咲いてた。

春先ってのは、ホントはあまり好きな季節ではないです。そわそわと落ち着かない感じがして。雪の降る町に住んでいた時は、春を待ち焦がれていたんですが、そこを離れたとたん、割と元に戻ってしまった。どんだけ雪が苦手だったんだ私。

この数年、福井新聞で、数ヶ月に一度、エッセイ書かせてもらってたんですが、この春で終わりになりました。長い間、ありがとうございました。実は、今年の一月に書いたエッセイのラストに、「今年もよろしくお願いします」って付けたんですが、自分でなんとなく「あ、コレ、死亡フラグっぽい(笑)」と思ったんですよね。で、「こう書きましたけど、この企画、まだ続きますかね」って担当さんに訊いたら、「実は……」とのお返事が。おおフラグ通りって自分でおかしくなりました。でも、これまでのしめくくりっぽいネタ書いたから、いいか。……福井新聞のサイトで、今も読めるのかな。どうかな。

エッセイ、あまり得意じゃなかったです。作家らしい日常を書く、ということにものすごく戸惑ってしまって、だから、歴史作家っぽくがんばって歴史ネタで書いたときもあれば、前の日に見た映画の感想をばーっと書いちゃったこともあった。でも、あとから読み返したら、なんか面白いじゃんと自分で思ったりするのは、自作の小説に対する感想と同じ。

ホントは、最後の回が来たら書きたいな、でも実際には書けないだろうなと思っていたことがありました。福井で出会った友人に、感謝の言葉を。町との別れは良い理由でのものではなかったですが、良い出会いの思い出はたくさんあります。特に、いちばん精神的にどないしょうもなかったときに、外に出るための具体的な一歩を、手を引いてぐいと与えてくれたのは、あの町で出会った人でした。それを書きたかったんだけど、あまりに個人的なことなので、たぶん書けなかったでしょうね。……福井新聞さんにも、このエッセイ以外にも、あの町にいた間、ホントにいろいろお仕事させてもらいました。ありがとうございました。

楽しかった思い出のたくさんある町や場所やイベントごとなどは、当面は封印しとかんとやっていけんわと思うがゆえに、残念ながらまだ近づけなかったりもしてるのですが、雪解けの春が来るように、いつかは封印も解ける日が来るんだと思います。福井にもまた行きます。楽しいことを数えて笑って暮らしている自分と、その封印の下に押し込んであるものとの温度差に、夜中にときどき一人でぞっとしたりもしてますが、いずれいつかは。

こないだ仕上げた小説、予定よりもだいぶ長くなってしまったので、編集者さんと相談の上、削り作業中です。それでも、これまでに書いたもののなかでいちばん長い、かもしれない。