十月某日のこと。
京都大学にて、グローバルCOEというプロジェクトのオムニバス講義に呼んでいただきまして、「メディア論」として、「歴史と物語~語り手の立場から」と題して、一コマ、文学部で講義をさせてもらいました。
タイトル通り、歴史を題材にした小説の書き手として、「史実と創作のバランスをどう考えているか」という点を中心に、歴史学を学んでいた頃のこと、ドラマ化に際して経験した活字と映像との違い……などなど、日頃から考えていることを喋らせてもらいました。
「史実と創作のバランス」に関しては、基本的には作家の個性に関わるものであって、何が正しいっていうことはないわけですけども、人前でお話するとなると自分の立ち位置を改めて考えますし、話し終えたあとの質疑応答や、講義後に書いてもらった学生さんの感想コメントは、刺激になるものでした。関係者のみなさま、楽しく充実したひとときを、ありがとうございました。
このお仕事、京大で教鞭を執っている古い知人が声をかけてくれたものでして。
その知人というのは、かつて私が古文書解読職人として大阪の自治体をあちこちうろうろしていた(=大学院生時代、アルバイトで、複数の市史編纂室で古文書解読をやっいた)頃、その自治体の仕事がらみで知り合った方。実は、デビュー前の私の習作を読んでくださった(というか、「無理矢理、読まされていた」に近いかも)方の一人でもあるのです。懐かしいなあ。
その習作、物語自体は封印してしまったのですが、自作したキャラの一人は愛着があって、その後、名前だけ、他の作品のキャラとして使い回しました。「天文御用十一屋」に登場する「新町の姫御前」こと「霞」さんが、そのひと。当時のキャラと同じなのは、名前と、新町遊郭に住んでいるけど遊女ではない、というところだけですけども。「星ぐるい」ではヒロインでしたが、シリーズ2冊目でも活躍する予定です。
さて。
夏以降、ブログ、またまた長い間、お休みしてしまいました。
少し体を壊してしまい、仕事から離れて、生活を落ち着けることに専念しておりました。転居もしました。体調は回復し、引っ越しの片付けもそろそろも終わりかけで、少しずつ暮らしのペースがつかめてきたようです。長い長い一年が終わり、少しずつ、日常が日常として動き始めたような気がします。
今年は新刊、1冊しか出せないかなと思っていましたが(他にもう1冊、デビュー作を文庫化できたけど)、なんとか年内に2冊目、間に合いそうです。間に合わなかったものもあるので、それはとても悔しいのですが、これから一つずつ、がんばって&楽しんで、書いていきます。