久々に、「浪花の華」カテゴリの記事を。

「浪華の翔風」のことなんですが。

左近はともかく、赤穂屋とか弓月とか、ドラマと多少イメージの違うキャラクターについて、ドラマを好きだった方から激しく拒否反応が出るのではないかと、かなり怯えておりました。……実際、拒否反応中という方もいらっしゃるとは思うんですが、でも、ドラマで〈在天〉を知ったけど「浪華の翔風」もおもしろかったよー、という声をいくつかいただいて、心底ほっとしております。あーよかった。赤穂屋は実はあんな奴です。

弓月さんに関しても。
ドラマでは渋くて迫力があって格好良かった弓月さんですが、ホントは、「浪華の翔風」を読んでいただければお判りのように、もう少し若くて青いです。

「浪花の華」で弓月のキャスティングが決まったのって、実は(これ言っちゃっていいのかな)いちばん遅かったのです。少なくとも私が教えてもらったのはいちばん遅かった。送ってもらう台本に、他のキャストは全員名前が入っていたのに、弓月さんのところだけ、ずっと空白で。

冷静に考えたら、まあメインキャラではないし、しょうがないのかもですが、「浪華の翔風」を読んでいただけたらお判りのように、私がはじめに〈在天〉シリーズのメインキャラとして設定したのは弓月です。そこが決まらないというのはもう、本当に不安で……ごく内輪では、台本が届くたびに、「まだ決まってないよー、なんでよりによってこの男がラストなの……(T_T)」などとぼやいておりました(すみません)。

でも、結果オーライでした。宮内敦士さんの弓月は本当に迫力があった。栗山左近の兄にしては少し歳が離れているし、顔が似ているという設定も無効という感じですが、そんなことは横に置いといて、「あの青くて修業の足りない弓月が十年後にはこのくらい頼れる頭目になってくれたらいいなあ」と思うかっこよさでした。最大の懸念だった、池内若狭より強そうに見えない人になったらどうしよう、という問題も、クリアしてくださいましたし(池内さんがすごく迫力あるもんだから、心配だったのですよ……)。

ドラマ撮影時、放映時にこのブログで、出番のすくない弓月さんにやけに肩入れしている記述が多いなあと思われた方。私にとって弓月は脇役ではなく、〈在天〉シリーズの、主役だったのです。しかも、ドラマの弓月王の初登場シーンが、まさかの、あの、「蘭陵王」装束姿ですから。これは私に対するNHKさんのサービスだろうかと思ったほどでした(ちなみに、制作サイドは「浪華の翔風」も読んでおられました)。

「浪華の翔風」のあのシーンを気に入ってくださった方は、ぜひ、「浪花の華」第二話をもう一度ご覧くださいませ。「蘭陵王姿の弓月王」が見られます……ほんの一瞬ですが。でもロケ現場にいた私は、ずーっとじっくりたっぷり見ていたんですよ。このブログに、とんでもないピンぼけ蘭陵王@宮内さんの写真を繰り返し載せた私の、裏にある思い入れを、今やっと語れます!ホントに嬉しかったんです!

……ただ、やっぱり、「浪華の翔風」の若い弓月さんとイメージが違う点はありまして。実は、作者が「宮内さんのイメージにぴったり合う弓月王」と思っているのは、「あかね」に出てくる、あの時代の弓月王です。……って、ほとんど出てきてないですけどもね……これから、出番増やせるといいなあ……。

ドラマ話ついでに。
「遠き祈り」に登場する、〈別流〉の「伊勢」というおじさまは、ドラマの福本清三さんを逆輸入させていただきました。なので、脳内キャストは福本さんで読んでいただけると嬉しいです。……この先、誰かに斬られるシーンがくる予定は今のところありませんが、しかし、せっかくなので派手に斬られてほしい気もする(笑)。