京都の国際マンガミュージアムで、「ベルサイユのばら原画展」開催中(5月8日まで)。
見に行って参りました。展示の量が多く、名場面のセレクトも秀逸。華麗な作品の世界を堪能してきました。
「ベルばら」といえば、男装の麗人オスカル。私の作品でも男装の麗人が活躍しておりまして、実は、「浪花の華」というタイトルは「ベルサイユのばら」を意識した面もある……という話をドラマの制作過程で小耳に挟んだこともあります。
でも、私が自作で男装の麗人を描いたときに、オスカルを意識していたかというと、別にそんなことはないです。
私にとっての「ベルばら」は、「キャンディ・キャンディ」とか「王家の紋章」とか「ガラスの仮面」とか「エースをねらえ」とか、同世代なら一度は楽しみ友人と語り合った少女漫画の一つではあるけれど、それだけであって、「子供の頃に接した作品で、大きな影響を受けたもの」を30コ挙げても、「ベルばら」は入らないと思います。好きだし文庫版も持ってるけど、熱中したわけではないなあ、という感じ。思春期に熱中した少女漫画を一つあげるとしたら、いろいろ迷いはしますが、「紅い牙 ブルーソネット」かな。愛蔵版コミックスはもちろん、イメージアルバムもCDで買い直したくらいだし。
……と思っていたんですが、でも、原画展をじっくり見て、久しぶりに「ベルばら」の世界を味わっていたら、私が男装の麗人を好む因子のいくらかは、この作品から生まれたのかもしれないと思いました。あれだけ偉大な作品に幼い頃に接して、影響を受けないはずがない。
「男装の麗人」に関しては、一時期、かなり興味を持っておりまして(もちろん、「左近」というキャラを作り出した頃です)、別名義で評論も書きました。一つは、「美少女戦士セーラームーン」に登場した男装の少女戦士「セーラーウラヌス」を通し、セーラームーンという作品に登場する女性像について考察したもの。もう一つは、田村由美の漫画「BASARA」の主人公「更紗」の男装を通して「男装の麗人」譚の変化を考察したもの。ともに女性学の雑誌に発表したものです。サブカルチャーにおけるジェンダーの考察に、興味を抱きはじめた頃でした。
このとき、参考文献として「ベルばら」や「リボンの騎士」といった古典も読み返しまして(「ベルばら」文庫版を買ったのは、このとき)。改めて思ったのは(そして今も思うのは)、当たり前ですが「男装の麗人」だからといってひとくくりにできるほど単純なモノではないし、古典的なモチーフであるがゆえに時代とともに変化も大きい、ということ。男装をする意味合いも違えば、キャラ本人の「性」に対する認識も違う。そういうあれやこれやを踏まえて練り上げてこそ、男装ヒロインを書く意味があるってもんだよな……、と改めて思いました。「ベルばら」の生原稿を見たい~、とミーハー心で出かけたイベントでしたが、予想外に、自作についても再考する良い機会になりました。
……ちなみに、「左近」のキャラ設定で「影響を受けた」と自覚している男装キャラは一人だけいるのですが、時代小説とはジャンルもまったく違うし、気付くとしても(私がそのキャラを好きだった)中学時代の友人だけだろうと思っています(笑)。
原画展のあとは、こちらへ。
恒例の春ツアー@京都会館。
最後の歌が、心にしみました。