前に少しここに書きました論集、本日、手元に届きました。
『時代考証学ことはじめ』 東京堂出版 2400円+税 11月21日発行です。
帯によれば、「時代考証学は、時代劇や小説を通じて歴史に興味をもつ市民と歴史学を結ぶ。本書はこの新たな学問領域にいどむ同学会の、第一回シンポジウムの報告集」とのこと。
大河ドラマの時代考証などをされている東京学芸大の大石学先生が昨年、「時代考証学会」を立ち上げられまして。私もお声をかけていただき、昨年末の第一回シンポジウムには参加させていただきました。私はもともと歴史学研究の畑にいた人間で、その後、小説の世界に移り、時代考証の現場とも縁を持つことになったわけで……改めていろいろ考えさせられました。
その報告集が本書です。
大河ドラマの時代考証について。映画の時代考証について。視聴者からの意見。教育現場からの意見。さまざまな立場から「時代考証」について語られています。
私自身は「浪花の華」撮影当時の裏話的なものを混ぜつつ、時代考証について思うことを書かせていただきました。……実は、正直なところ、できたばかりの学会(しかも、これまでなかったような立ち位置の)の、一冊目の報告集ということで、「何を書くことを求められているのか」が、よく判らない部分もありまして。もしかしたら、自分の論考だけとんでもなく浮いていたらどうしよう、などとおびえております(本日、手元に届いたばかりでして、まだどなたの論考も読んでおりませんのです……)。
時代劇と歴史学研究の間にある、深いのか浅いのかよく判らないけどそれなりに暗く横たわっている溝について、興味がある方には面白いのではないかと思います。どうぞ、お手にとってみてください。
私の小論では、今まで大きな声で言っていなかった、「高麗屋」のモデルについてとか、ちょこっと書いたりしております。大きな声では言ってないですが、四天王寺になじみのある方には「そりゃ他にないだろ……」というまったくひねりのない話ではあります(モデルといいつつ時代は合わない……というあたりのことなどを書きました)。文中にも書いたんですが、大きな声でいえないのは、作中の「高麗屋」のまんじゅうを、物語の都合上、「おいしそうではない」と設定してしまったからです。某釣鐘まんじゅうは、もちろんおいしくて大好きなのですよ……。