久しぶりに赤い服に着替えて、住処の町を離れて隣県まで、歌を聴きに行ってきました。一年ぶりにそのひとの歌を生で聴いたら。私の人生はまだまだ終わらないんだということが、少しだけ、受け入れられるような気がしました。理屈じゃないんだなあ、こういうのって。
劇的に立ち直ることができないからといって、「どうせ根っこの悲しみは消えないんだから」と思い込んで何もかも振り払って拒んで暮らさなくてもいいんだな、と思いました。表面だけでも、一時的にでも、いやしてくれる薬があるなら、ちゃんとそれを手に入れる努力をして、生きていくってやり方もあるんじゃないの。そうしたら、いつか、「ここまでやってこれたってことはあのときの傷は致命傷ではなかったのかな。このさきも生きていけるのかな」と思うときもくるかもしれない。
前を向くために、「外国に留学でもしようか」とか「一人で秘境探検にでも行こうかしら」とか、日常を放り出すようなことをあれこれ結構本気で考えたりもしたんですが、日常のなかでもちゃんと自分は取り戻せるし、前は向けるのでしょう。
前向きなことを考えたり書いたりすると、反動でまたしばらく沈み込んだりはしますが、少なくとも、今の私は昨日よりは少し、光のほうへ歩き出すことができました。
気持ちが壊れてしまって、自分の過去と未来がうまくつながっていかないような気がして。過去の私がとても好きだったコンサートという娯楽とも、きっとこれからの私はすべて縁を切るだろうと、本気で思ったりもしていたんですが。
それでも、古いつきあいの友達は「来月のチケットが来たよ。良い席だよ。だからそれまでがんばれ」とメールをくれるし、地元のコンサート友達はこれまでと変わりなく誘ってくれるし。これまでの私がとても好きだったものは、これからの私の心にもちゃんとエネルギーをくれるのかもしれない。
今回聴きに行った「彼」は若い歌い手なので、なんというか、「青春がんばれソング」みたいな歌が多くて。「そういうの前向きなの、今ちょっとしんどいし」と行く前は思ってたんですが、実際、目の前で歌われると、ストレートに心に響きました。
がんばれ負けるなとか歌われても、「何も知らない若者なら素直に聞けるんだろうけど今の私は無理だわ」と思ってしまうんだろうな、なんて直前まで思っていたんですが。そんなことを思う前に、こっちをねじふせるくらいの「歌」の力を、彼は持っていました。こんなひどい状態の私にまで、素直に、ああ泣いてばっかりいないで前を向かなきゃなあと思わせてしまうくらいの、とんでもない力を持った歌でした。正直、見くびっていました、「歌」の力と、それから、何より、「彼」と「彼ら」の歌の力を。
今日は泣いていたって、いつか笑えるはず。
ややこしい状態の私を、とても自然に誘い出してくれたお友達に感謝を。一人だったら、きっとチケット破り捨ててた。ありがとうございました。
席が良かったので、特効のテープが頭上から山ほど降り注いできました。
ああ、それにしても。こんだけ長文のブログが書けること自体、気持ちがまともに動くようになった証だと思います。
