毎回、ドラマの感想をUPするのに、放映後、かなり時間がかかっています。なんでかというと、短く簡潔にまとめるのが難しいから(^^;)。
私、毎回、送っていただいたDVDを見たあと、勢いで(自分メモ用として)、だーっと感想を書いています。初見で自分が何を思ったか、記録しておきたくて。
サイトにはそこから、「できるだけ簡潔に」まとめたものをUPしているんですけど、これがなかなか難しくて。なんせ、長くなる。
初回を見たとき、同じように「できるだけ簡潔に」まとめた感想をプロデューサーさんにお送りしたのですが。それでも「熱烈な感想をありがとうございます」と言われたくらい、後から読み返したら長文でした(笑)。
なので、いつも、自分メモから短く切り出すのに苦労してるのですが、今回はもう、勢いで書いてしまいます。だらだらと長くなるかもしれませんが、すみません。
いやー、緊張しました。ホンマに。
もちろん、私は放映前にDVDを送っていただいているので、土曜日に初めて見たわけではなく、「DVDを初めて見たときに」緊張した、わけなのですが。
緊張した理由は、いろいろあります。
まず、なんといっても、「北前船始末」は、8話ある章の物語のなかでも、かなり思い入れが強く大事にしているものなので、そのドラマ化というだけで緊張します。
そのほかにも、こう……原作者ゆえの不安や葛藤も大きな回でして。やはり、ドラマオリジナルの展開が多かったもので。
一つには、物語のテーマにも関わる大事な科白を言う人物が原作と違う、という点。そんな大事なところが変更になってしまって、私はちゃんと楽しんでみられるだろうかと、不安で。
………でも、ドラマの展開やドラマの人物設定のなかだと、納得のできる流れでしたね。うん、安心しました。ドラマの章は原作よりもだいぶ若くて青いし、初っぱなの「ヘタレ」度も高い。さらにいえば、ドラマと原作ではエピソードの順番が違うので、この「北前船事件」が起きたときの左近と章の関係も、章の医学生としての立ち位置も、左近が章の前で素直に感情を見せる度合いも、かなり違う。ドラマの章と左近であれば、あの流れが自然だったんだなと納得しました。人の命に関するもので儲けようとするな、と素直に怒る者もいれば、もう少し現実が見えてしまっていて青い正義感だけで怒鳴れない者もいる。そこが描いてもらえたから、よかったかな。なんといっても怒鳴る窪田くん、かっこよかったですし(^^)
あと、撃たれた左近の手術シーン。これも、原作とはだいぶ違いまして……いったいどうなるんかなと(脚本は前もってもらっているので筋は判っているのです)。これも見応えあるシーンになってました。ただ、痛そうで見てて辛かったです。左近はもちろん、見ている章と若狭が辛そうな顔してんのが、また辛い。めちゃめちゃこわばって見てしまいまして、見終わったときぐったり疲れました。お三方、熱演でした……。
さらに。ささいなことなんですが……原作未読の方にはネタバレですみませんが、ちょっと言ってしまいますが、原作では弓月さんは章を邪魔者扱いしたりはしないんですよー。むしろ気に入ってる(と左近は思っている)くらいでして。だから、ドラマの弓月さんには、作者としては微妙な気持ちで、ね。まあ、でも、それも左近を大事に思うがゆえ、というスタンスは一緒だからいいか、と……思いましたけど……(^^;)。
つまるところ、章と〈在天〉組の関係性が、「原作と微妙に違う」面が一気に出てきたのがこの回だった、ということですかね(いちばん大きい「差」は、アソコでしょうし……^^;)
でも、ドラマとして見応えのある展開だったので、よかったです。
原作者根性との葛藤がなければ、私ももっと純粋に楽しめたのになあ……(苦笑)。
天游先生一家も良い味出してました。
卯之助&おゆきもよかった。
殺陣は今回もかっこよかった。
何より、この話でいちばん描きたかった、「この時代と痘瘡と種痘と緒方洪庵」について判りやすく映像にしてもらえたのが嬉しかった。やはり緒方洪庵を語る上で、種痘は欠かせないものですから。
この話を書いたときに、当時の天然痘や種痘事情について調べたのですが。ひとが天然痘と闘ってきた歴史の長さと重さに、本当に打ちのめされました。
神仏に頼るしかない、人の力ではどうしようもないと誰もが信じていた病を相手に、科学の力を信じて闘いを挑んだ医者たちの歴史。
私は、WHOが天然痘撲滅宣言を出したニュースを、子供心に「なんか、すごいことみたい」と見ていた世代です。緒方章が闘いを挑んだあの頃から、いえ、もっと前から、人はこの病と闘い続けて、そして、勝利した。
私、江戸時代がとても好きです。が。だからといって今より江戸時代のほうがよかった、とは絶対に思いません。豊かであればいいというわけではないけれど、人が、住みよい暮らしを求め、人の知恵と力を信じて必死に戦ってきた歴史を無視して「江戸時代の生活は理想」「理想のエコライフ」みたいに言われると、「ご冗談を」と思ってしまう。飢饉のたびに大勢が死に、疫病には太刀打ちできず。その時代の科学者が、どれだけ必死に「人のよりよい幸せ」を求めていたか。その連続が今であるということを、江戸時代が好きだからこそ、忘れたくないのです。
……いや、まあ、江戸のエコライフを理想的に語るときには、そういう点は「まあ横においといて」という話ではあるんでしょうけど、でも、大人げない私は、「江戸時代の生活は地球に優しくて、良い暮らしですね」などと言われると「良い暮らしとは思いません」といちいち応えてしまうんです。地球には優しかったかもしれないけれど、人の苦しみは大きかったはず。江戸時代は好きだけど、好きだからこそ、章みたいな人たちが命がけで作り上げてくれたその後の住みよい世界に生きる身で、安易に理想化はしたくないなあと。
なんか、話がそれてしまいました(^^;)
そんなわけで、緒方洪庵が尽力した「種痘事業」は、ダイレクトに今の自分に繋がっているものとしても、感謝もしているし、尊敬も大きいのです。今の若い世代はもう種痘うけてないそうですけど、それも、私たちの世代までがみんな種痘をうけたからこそ大丈夫になったわけですし。先日NHKさんの「その時歴史が動いた」でもやっていましたけれど、章には、除痘館を開いてからも大変な苦労があったわけで。そのあたりの話なんかも、いつの日か、どういう形でか判らないけれど、書けたらいいなあ……と思ったり、しています。
やっぱり長くなりました。
あんまり原作者が感想を語るのも(特に今回みたいに、原作とここが違う、というようなことを)野暮だと判っているのですが……今回は本当に本当に見ながら緊張したので、緊張が緩んだ勢いで、すみません。
あ、長文ついでに、原作と違うから不安、という点に関して補足します。
ドラマは脚本の準備稿から見せていただいています。読ませてもらって、意見があったら言います。といっても、ほとんどこちらから注文をつけたことはなく、「あー、こんな風になるんだ」とうなずきながら(楽しみながら)読んでいただけ。ドラマはドラマのプロにお任せした方がいいと思っていましたから(そして、安心してお任せできるスタッフさんだと、何度かの打ち合わせの折に感じていましたから)。
全話通して一度だけ、「可能であればここは変えて欲しい」とお願いしたことがありまして、そのときは、メールでやりとりしたあと、決定稿で直していただきました。
つまり、どうしても嫌だったら脚本段階でソレ言ってるわけで。言って、すべて思うように変えてもらえたのかどうかは、今となっては判りませんけど、言ってない、という段階で、基本的に納得してるんです。でも、「最終的にはどんな映像になったのか」はやはり不安だし緊張はするので、今回はちょっと大変だったなと。
7話以降は、もうちょっと腹くくって見られるような気がします。……たぶん(笑)。
いや、ドラマ化なんて、慣れていないんですよ。楽しみはとても大きいですが、不安も緊張もプレッシャーもホンマに大きいんです。慣れてないなんて、改めて言わなくても判っていただけていると思いますけど(^^;)
もう、こんなだらだら語りはしないようにします…。
長くなったので、〈kuroneco写真館〉は日を改めて。