本日手元に届いた新刊です。
克次の2巻。
表紙がとても綺麗です!
店頭に並ぶのは来週になります。
詳細はそれまでに「著作紹介」ページにUPいたします(^_^)
どうぞよろしくお願いします。

さて。
HP更新のお知らせです。
「江戸時代の大坂」メニューに、新しいページを追加しました。
「史跡めぐり」と題しまして、物語に関する史跡の写真ページを作りました。
三つに分かれておりまして……。

■適塾・思々斎塾・懐徳堂
大坂の学問所を三つ、紹介しています。
思々斎塾と懐徳堂は石碑が残るのみですが、適塾は当時のままに現存。
北浜のオフィス街に残る江戸の息吹を、写真でお楽しみいただければ幸いです。
この適塾、大坂の町屋としては唯一現存するものでもありまして、この写真を撮影した日に、たまたま適塾の大部屋で出くわした私の大学院時代の歴史学の師匠は(本当にたまたま出くわして、そのことにとてもビックリしたのですが、それはともかく)、「江戸期の建物がそのまま残ったこと、それが適塾であったこと、まさに奇跡としかいいようがない」としみじみ仰っていました。
貴重な貴重な史跡。大坂の宝です。この写真を見て気になった方は、ぜひ足を運んでみてくださいませ。
築山作品との関わりで言いますと……。
「適塾」は「緒方洪庵・浪華の事件帳」シリーズの主人公緒方章が、一人前の蘭方医になったあとに「洪庵」と名を変え開いた塾。福沢諭吉、橋本左内など幕末維新期を担う人材を輩出しました。
「思々斎塾」は、その緒方章が大坂で蘭学修業をしていた時代に師事していた蘭学者・中天游の開いた蘭学塾。「緒方洪庵・浪華の事件帳」シリーズで章が住んでいた場所でもあります。
「懐徳堂」は、「寺子屋若草物語」の主人公三姉妹の次女お涼が通う、大坂町人による大坂町人のための学問所。大坂学校などと呼ばれ、江戸の昌平坂学問所に並ぶ存在として、大都市大坂で知識人の育成に大きな役割を果たしました。適塾が「医学」という理系の学問を柱にしていたのに対し、懐徳堂は文系の学問を中心にしていました。
適塾のすぐ近くにあります。

■四天王寺
古代難波の宮の息吹を現代に伝える古刹。
京都、南都と並ぶ雅楽のメッカで、天王寺舞楽を伝承する「天王寺楽所」の拠点です。
ここでは、雅楽法要を行う石舞台を中心に、伽藍や石鳥居の写真を紹介しています。
築山の作品世界において、四天王寺と天王寺楽所は大きな役割を果たす存在です。「緒方洪庵・浪華の事件帳」シリーズとデビュー作『浪華の翔風』に登場する特殊な一族は、この古刹とそこに伝わる雅楽に対する、作者のあふれる愛から生まれたものです。
江戸期の建物「適塾」がそのまま現代に残ったのが奇跡であるように、古代難波の宮を彩った天王寺の雅楽がいくつもの時代を超えて現代にまで残り、今なお「大坂町人」が伝承し続けていることは、大いに誇るべき大坂の奇跡であると思うのです。

■水の都
大坂といえば、水の都。
といっても、現在は水路のほとんどがなくなってしまい、今は道頓堀と東横堀が残るだけ。
ここでは東横堀川と大川、土佐堀川を中心に、かつて流通や交通を担う存在であった「川」の姿を紹介しています。
土佐堀川の川岸には諸藩の蔵屋敷が並び、商人たちとともに大坂の経済を支えていました。

各ページ、写真は(一部をのぞいて)築山の友人kuronecoさんの作品です。
取材をかねた大坂町歩きの折りに同行をお願いし、HP用に撮影していただき、それを制作会社ヨコハマヤさんがデザインしてくださって、このページができました。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

で。
先日UPした地図に引き続き、なぜか、この写真ページもネタが「緒方洪庵」シリーズに偏っておりますが……なぜなのかは、来週になりましたら改めてご説明をば。どうぞ、お楽しみに!