カテゴリー
アーカイブ
 

再演の「蘭 緒方洪庵・浪華の事件帳」が幕を下ろしました。
 
千穐楽後、体調と時間とやるべきことのバランスをくずしてしまって、ちょっと寝てたり、してまして。その間、蘭の感想どう書こうかなあとあれこれ思い出してたんですが、こう書けば正解と思いつかなくて、というか、初演のときに、これが最後だと思ってあれこれ書きすぎて、再演が決まってから、しまった、と思ったりもしたので、(何が具体的にまずかった、ていうんじゃなくて、最後の記念にと思ったから書きまくったという気持ちがありまして、単に恥ずかしかったのです……)、じゃあ今回どうしようと迷った結果、とにかく、素直にあれがよかったこれが好きだったと書くのが感想だ、という結論に達しましたので、そんな感じでいきます。
 
「遠く千歳の古に――」というあの口上が、最後の章の表情が、本当に好きです。出会いと別れと、二人の大坂への思いを、すべて飲み込んで去っていく表情が。「蘭」の「章」はここから「洪庵」になっていくんだなと。それから、再演で付け足された、「思々斎塾は、京間十二畳ほどの西日のさす板の間に……」と語る章の、学問する若者らしい顔も好きです。「だんだんやましくなってきました」等々の笑えるシーンももちろん好きですが(笑)。
 
左近の、卯之助や椋梨様を前にひるまずたたみかけていく、自信に満ちた姿が好きです。そんな左近が、山城屋に向かおうとして章に止められ、「何言ってんだこいつ」8割、それ以外の感情2割くらいで章を見ている顔が、めちゃくちゃかわいかった。ホントにかわいかった。たまたま目の前の座席だったことがあるんですが、忘れられません。
 
若狭の、公儀隠密を前にして余裕の笑みを浮かべつつ懐に手をいれる不敵さが好きです。あれは絶対、懐に短銃入れてるはず。あと、この若狭は普段も舞台で舞ってますね。ファンも大勢いますね、絶対(笑)。いつも舞ってる男の裏稼業、というのを思わせる殺陣が素敵でした。
 
天游夫妻が、この国の蘭学を育てていく決意を語るところが好きです。「蘭」の二人は、めちゃくちゃ楽しい、おもろい夫婦だけど(お笑いシーンが基本、夫婦のじゃれあいな中家すばらしい)、あの決意のシーン、この国の学問を支え、町の人たちを助け、多くの弟子と蘭学を愛する息子を育てた父母としての姿、かっこよかった。
 
耕介は、おあきを一途に愛する純な若者で、「蘭」の世界線で幸せになってほしい。でも、ライブで披露された歌が、私には、原作の世界線の耕介の歌みたいに聞こえて、切ないような、もう一つの世界線も見られたような、そんな気持ちになりました。おあきも、本当に、ええ子やないか〜って感じの可憐さで……そんなおあきが仏を見てしまったあとの「ぎゃーっ」て悲鳴が、普通の女の子が殺人事件にぶつかったらそうなるよね、冷静な左近とかがおかしいんであって、という感じで好きでした。
 
卯之助さんの、荒くれ船頭な殺陣が毎回、しぶくてかっこいい! おゆきは将来、自分の子供に種痘を受けさせたりしながら、卯之助のおっちゃんとの船旅を思い出して、ちょっと泣いたりするんじゃないかと思います。そんなことを思わずにいられない、あたたかな二人でした。
 
原作者として、舞台の上にあらわれた、自分の書いたキャラクターたちを思い返し、幸せな気持ちになるとともに、一方で、すごい世界になっちゃったなとびっくりする楽しいシーンも次々と思い浮かびます。「マイケル治療法」ご一行さまとか、「喉から〜手が〜」とか、「欲しがってる二人」とか、「六甲のツキノワグマと呼ばれる見た目よりも大きな男だ」なケモノ一家のみなさんとか、「入らないで」とか、「奉行所です!!」「診療所です!!」とか、「つーけもんもんつけもんもん」とか、「あさがおー」とか。
 
刀をぬらしたくない椋梨様が、どんな名刀を使ってらっしゃるのかが気になるし(きっと同心新井様とはレベルの違う名刀!)、章が滑稽本を読んでいると見て「ちゃんと勉強せえ」とツッコミいれる、実はああ見えて情に篤いだけじゃなくて真面目だったりもするかもしれない半治さんが、もっとすごい本が思々斎塾にあるのを知ったらなんていうのかも気になる。天神さんの団子を今日はええわとことわったお兄さんが実は四天王寺前の饅頭屋のファンで何度も買いに来てたのは笑ったし(同じひとですよね?)、トラさんのまじないが初日から松竹座までの間に真言ぽく変わっててなんかすごい御利益のある漬物できてそうだったし、山城屋さんの、「ええかげんなこと言うたらあかん!」の逆ギレが毎回、結構こわくて、このひと実は相当えげつない悪人やろな感が好きでした。
 
瓦版屋VS饅頭屋は、初演のときもすごく好きだったのですが、再演もまた、まったく違うタイプの対決になってて、かっこよかった。三吉さんの、「すまじきものは宮仕え、さらば、さらば」の言い方がとても軽妙で、隠密って言いながら、結構、大坂の町を楽しんでたんじゃないかなという気がします。初演の二人が、今からガチで斬り合ってもおかしくないような殺気をみなぎらせていたのとはまた違う公儀隠密対〈在天別流〉を見せてもらえて、楽しかった。
 
「さだめ、天に在してこの地この民を守る、我が名、〈在天〉!」の口上が大好きでした。〈在天別流〉の東儀左近というキャラクターを、本当にかっこよく演じていただきました。幸せでした。初演のときとの違いは、私が再演までの間に北翔さんの男役姿を生で見る機会をいただいていた影響で、幕開けの後ろ姿を見つつ、これ弓月(左近の兄の上総の通り名です。劇中出てきませんが)かもしれないとかひそかに思ってたことでした。
 
岸田敏志さんが作られた「東儀左近のテーマ」「大阪ラプソディー」を聞くと、今でも、舞台の場面が思い浮かびます。〈在天〉シリーズを書くとき、気合い入れるために聞いています。脚本の松田健次さん、演出家の錦織一清さんとは打ち上げの席でお話させていただきましたが、見えているものが私とはまったく違う、舞台の世界の方の視点に、ただただ圧倒されました。「洪庵シリーズ」を「蘭」にしてくださって、本当にありがとうございました。
 
内緒にしてましたが。
実は、初日の戸田で、高麗屋の娘さんから饅頭もらったの、私です。うれしかった!! 
20190811
埼玉県戸田市で左近から高麗屋の饅頭を手渡される未来があるとは、書いているときには想像もできませんでした。人生、何があるかわかりません。
 
201909
耕介くんの終演後のCD即売&握手会にも立川でこっそり参加しました。なんで並んでるんですかって耕介くんにびっくりされて、並ばなくてもCDプレゼントするつもりでしたよーって言っていただきましたが、イベントに参加したかったのです。
後ろに写っているのは、最終稿の台本。なんと、千穐楽の前日にいただきました(笑)。
 
20190930
大入り袋もいただきました。
ありがとうございました。
 
仕事と体調が落ち着いたら、四天王寺にお参りに行くつもりです。もちろん、お土産におまんじゅうも買います。四天王寺前には本当は美味しいおまんじゅう屋さんがあるんです。美味しいんです。美味しくてくせになるんですー!!
 
「洪庵シリーズ」は幸運な作品だと心から思います。
すべてのスタッフさん、キャストさん。松竹株式会社のみなさま。
見に来てくださった、みなさま。
御縁をいただいた方、すべてに、心より感謝いたします。
本当に、ありがとうございました。
舞台「蘭」、初演も再演も大好きです!!
 
 

Comments are closed.


XPressEUC Ver.0.30 (included WordPress 2.7) (0.234sec. )
ホームお知らせ自己紹介著作紹介江戸時代の大坂雅楽練習記お問い合せ
© 2008-2019 TSUKIYAMA KEI Produced by Yokohamaya