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W杯、楽しんでます。
四年に一度のこの期間は、余暇はサッカーにつぎ込みたい。
 
ウルグアイが順調に勝ち抜けてうれしい。スアレスが好きです。今回こそは、チームより先に消えないでくれと祈ってます。
あと、メキシコ。ドイツ戦に勝って喜んだのに、ドイツの第二戦の劇的な逆転で、最終戦まで予選抜けがもつれてしまって。でも、なんとか勝ち上がって欲しい。で、ドスサントスの兄さんのほうにスタメンで出てきてほしい。
日本戦が無事に日本勝利で終わったので、やっと堂々と言える感じですが、コロンビアも応援してます。日本とコロンビア1、2位で、なんとか。
 
コロンビア好きな理由は、私のサッカー界の永遠の最推しが、カルロス・バルデラマだから、で。ここはもう、本当に、別格で、彼の応援するチームだというだけで、コロンビアは特別。どうか日本と当たらないでくれ、と毎回、思ってるんですけど、どうも、うまくいかないのが、つらい。南ア大会でオランダが日本と当たったときもそんなこと言ってましたが。あちらはフリットが好きで、その後、スナイデルにハマりましたが、コロンビアは、バルデラマのあと、夢中になれる選手には出会ってないので、そろそろ出会いたい。あとは、マラドーナでサッカーにめざめたので、アルゼンチンには強くあってほしい。まだ希望はある。
 
そういうファン履歴なので、ドイツは永遠の宿敵。ブラジルはライバル。でも、予選で落ちたりはしないでほしい。ベスト8ぐらいで、ひいきチームとあたって、うぎゃー、次お前かー、とか言いたい。そして、勝ちたい。できれば。宿敵は強くてこそ。
 
で、大会終わる前に、新しいひいき選手を見つけて、次のサッカーシーズンの楽しみにしたいです。
 
現在、「左近」シリーズ新装版の作業してます。表紙がたぶん、また、とてもすばらしくなる予感がします。たのしみ!
 
あと、そのうちまた、在天がらみでお知らせができるといいなと。
 
 

先月の大半を、好きになったものを好きになったぞーっと公言して行動しまくっても、なんだか仕事中みたいな感じになる、という不思議な状態で過ごしたので、いま、好きなものにかまけていると「いやいや仕事しなきゃ」という気分になる、通常営業の状態になって、ちょっと、さびしいです。
 
いや、仕事は好きなんですけど、なんというか、今のハマりものについて好きだ好きだって、なんの遠慮もなく仕事ブログで発信しまくっても許されることって、なかなか貴重なので。別に今、発信してダメなわけじゃないんですが、でも、やっぱり時間と優先順位の兼ね合い的にアレだし、現実として、気持ちのいちばんは原稿のほうに向いてて、それが楽しいのは絶対に確かなことなんですが、それでも、だいたい、いつもまあ、好きなものを好きだ好きだと語っていたい人生なので、先月はそういう点で、非常にめぐまれておりました。
 
今は、わりと時間がなくて、四年に一度の楽しみ、サッカーW杯をどのくらい見られるのかも、不安になってきてます。先月、あれだけあんな感じだったんで、時間がないのはまあ当然なんですが、しかし、この時期にまだ、各国の選手一覧の載ってる雑誌の類すら入手していないのが、いくら、オランダとイタリアが出ないからといっても、自分で信じられない。がんばらなければ。もろもろ、いろいろなことを。……先月の余韻さめやらず、原稿の合間に、アマゾンで舞台のDVDあれこれ買い込んで仕事デスクの横に積んでますが、見られるのいつかな。CDは、原稿書きながらでも、聞けるんですが。
 
刀の展示も、名古屋の獅子王は諦めたし、岐阜の兼定展もたぶん、今の感じだと無理かなと。残念ですが。でも、時を超えて伝えられた刀は、まだこれからも、時を超えて伝えられていくので、いつか、また機会があるはずと信じます。土方さんの和泉守兼定は、土方家の資料館で見たことがあるんですが、他の、ノサダの刀とか、たくさん、見たかったんですが、どうにもこうにも、先月のツケが。がんばります。
 
 

バタバタと動き続けた時期を終え、ぼちぼちと、普段の暮らしに戻ってきました。
いろいろ時間に追われながら、過ごしています。
 
今日、双葉社さんから郵便物が届きました。
舞台をご覧になった方々からの、熱い感想のお手紙でした。
ありがとうございます!
とてもうれしく読ませていただきました。
小説の感想はもちろんですが、舞台の感想もうれしいです。「そうそう、そうですよねー」と、うなずきながら読んでおります。
なかには、貴重な北翔海莉さんグッズをプレゼントしてくださった方も!
本当にありがとうございます! みっちゃんかっこいい! 大事に使わせていただきます!  
 
ふりかえりブログも、予想以上に多くの方に読んでいただけて……本当にありがとうございます。「蘭」が多くの方に愛された舞台だったこと、あらためて、実感しました。
 
私、演劇はあまり、自分の身近なジャンルではない気がしていたのですが、「蘭」のおかげで、素敵な役者さんをたくさん知ることができましたし、錦織さん演出舞台もまた見てみたいし、これからちょっと、「演劇を見るひと」になれたらいいなと思っています。そういう形で、自分のなかに、あの体験を残していけたらなと。……あ、もちろん、「在天」シリーズ執筆のBGMに「東儀左近のテーマ」エンドレスでかけるぞとか、そういう直接的な面はめちゃくちゃ残ると思いますが、それ以外にも、という意味で。
 
今、時代小説でなくジュニア文庫向けのプロフィールには、「趣味は博物館めぐりとコンサートに行くこと」と書いていまして、その実態は博物館(の刀剣展示)めぐりと、(アルフィーの)コンサートに行くこと、だったりするのですが、そこに、「お芝居を観る」も、そのうち、入れられたらいいなと。現状だと、「お芝居(「蘭」)を観る」になってしまうのですけど(回数的に、自分の十年分の観劇体験と同じくらい、観たのではないかと。あ、歌舞伎文楽伝統芸能は別枠ですが。「蘭」より先に見た「エルスール」も「かけ隼」も、「蘭」がきっかけで出会った舞台ですし。あのあたりで、観劇って楽しいな、と思い始めました)。
 
ところで。
「蘭」に関係あるような、ないような、ことなんですが。
コレ、手に入れてからずっと、ブログで自慢したい欲と戦っていたのですが、「蘭」ゴーフル缶との相性の良さに感動したので、やっぱり、自慢します。「にっかり青江」(右の子)@刀剣乱舞。くじで当てました。うちの最強打刀(左の「大倶利伽羅」)と最強脇差!
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最後に、「今から、ひとネタ、並べるぞ!」……というわけで、小ネタ、並べていきます。
感想となると、よかった、大好きだ、という話になりまして、それを私が、これ以上、個々のシーンについてくどくど言うのもどうなのかなと思いますので、裏話的なものを中心に書きます。
なので、すみません、このシーンよかったー!と具体的に書いていないことがたくさんありますが、本当に、全部、好きなシーンだったので。
語っていいなら、台本片手に、「ここがこうであそこがああで……」っていくらでも話せますけど、何日たっても終わらない(笑)。
 
冒頭の在天口上。左近の舞は、装束はオリジナルですが、振りは、四天王寺舞楽のもの。「洪庵シリーズ」を書いていたころ、私は、四天王寺楽所雅亮会雅楽練習所に通って笙を習っていたんですが、そのときにお世話になり、ドラマ版のときに雅楽考証も担当していただいた方が、なんと、北翔さんの宝塚時代からの笛の師匠。思わぬ御縁がつながって、なんだか運命を感じました。ナマの龍笛演奏、毎回、素敵でした。
 
北翔さんの龍笛とか、扇治郎さんの舞とか、そういう「芸」が隠し球的に、でも隠されず、惜しみなくどんどん出てくるところが、この舞台、本当にすごいと思います。一幕、あれだけコミカルな動きに終始していた章の、いきなりのあの舞。章の内面の深さ、強さみたいなものが、言葉にしなくても出てくる場面。小説じゃ書けないよなあ、と毎回、思っていました。「芸」といえば、お定先生の怒濤の笑いもそのひとつで、「男でもない、女でもない〜」のシーンなど、毎回、何が出てくるか、本当に楽しみでした。
 
原作者として、舞台化されたからこそわかった、大きな失敗というか、最大の後悔がございまして。「なんで、主役が章なのに、ゲストキャラの女の子を、おあきって名前にしてしまったのか。めちゃくちゃかぶっとるやないかい!」。もう、毎回、毎回、茶店で二人が自己紹介するたびに、「他の名前にしたらよかった……」と思ってました。すみません。プロデューサーさん、演出家さんにもそう言ったら、「丁稚のあきどんが出てきて、余計ややこしくなりますしね(笑)」とトドメさされました。あああ。字面だと、漢字と仮名だから、そんなにややこしくなかったと思うんですよ……。
 
耕介おあきがらみで、言っちゃっていいのか迷ってたんですが、耕介くんご本人のブログ等では書かれなかったようなので、もったいないので、私が書かせていただきます。耕介役の上田さん、最後に出てくる赤ちゃんに、名前つけてくれてたのです。「おあき」はひらがな表記だけど、妹が「おゆき」なので、きっと季節にちなんだ名前なんだろうから、漢字で書けば「秋」のはず、だから、子供には、両親から一字ずつとって「秋介(しゅうすけ)」と名付けました、だそうで。なんかもう、ええ子やなあ耕介、って、しみじみ思いました。おあきちゃんと、「蘭」の世界で幸せに暮らしてね……。
 
高麗屋のシーン。若狭、左近、三吉の三人の、個性のある殺陣がかっこいいだけでなく、やられ役のケモノ一家さんが実に楽しく、さらに、章がオロオロしながらも、健気に左近ちゃんをかばおうとして、びっくりした左近ちゃんに手を振り払われたあと、逆にかばわれたり、若狭とこそこそ(おそらく左近ちゃんの)話をしたりと、見所が多すぎて、目が足りない! 
 
そのせいで見逃してしまったんですが、三吉の殺陣は、実は左近ちゃんの完全コピーなんだそうで。一度見た動きを完コピした三吉と、それに気づいて一気に警戒心をふくらませた在天組、という構図だったそうです。設定細かい! これ、聞いたのが、千穐楽後の打ち上げの席だったんで、確かめられず。めちゃくちゃくやしかったです。扇子の振りとか、似てるなとは思ってたけど、完コピとは。うう、あれだけリピートしたのに!
 
このシーンで、まず若狭が全員とやりあって腕を確かめてから、左近に交代、その後、瓦版屋があらわれて警戒、「在天の姫」発言あたりで左近が後ろに引いて若狭が前に出て……と、常に目線を交えながら、あうんの呼吸で動いている在天の二人が好きで、これを見せてもらえたら、饅頭空中斬りしても、五重塔の上から叫んでても、ちゃんと若狭だから大丈夫、と思えました(や、あの二階席のシーン好きですけど!)。
 
実は、台本を見て、担当編集者さんとアレコレやりとりしていたときに、いちばん悩んだのが、若狭のことなんですね。おわかりのように、若狭のキャラは、原作との違いが大きいです。しかも、初稿の若狭は、決定稿よりもさらに変わったひとで、せめてこれだけでも直してもらうべきじゃないかと、私より担当さんのほうが強く主張されたりして。私はもう、「演出家がやりたいんだったら……」みたいな気になってたんですが、さすが、クリエーターをコントロールする方向でのプロとなると、違いますね。いや、ホント、今思えば、そういうことなのかな。プロとしての領域の差。
 
なので、私自身も、あらためて、「そうか、このキャラは私だけのものじゃなくて、読者さんの大事なキャラにもなっているかもしれなくて、今、それを守れるのは私だけかもしれなくて……」なども考えて。でも、脚本の台詞をいくら直してもらったところで、最終的に、演出家の錦織さん、役者の荒木さんがどういう役作りをされるかで、百八十度変わるかもしれないし。
 
そういった悩みの過程を経たあとの、トドメの「マイクパフォーマンス」なのでね。もうね。ホントにいろいろ気をもませられまして。本番で、荒木さん演じる若狭が、茶目っ気はあるけど頼もしく誇り高い在天の男になってあらわれてくれたときには、心の底からほっとしたし、喜びました。ホントによかった。
 
ところで、種痘って、1974年生まれで最後なんだそうですね。私はもちろん、受けてるんですが、キャストさんの若者組は種痘を知らない方が多かったそうで、ちょっとカルチャーショックでした。いや、受けてない世代だとは思っていたけど、そこまで身近でなくなっているとは。洪庵先生のおかげだなあ……。
 
オリキャラの瓦版屋さん。佐藤さんの好演のおかげもあって、毎回、客降りも盛り上がって、人気者でした。ラストのあっと驚く変化もかっこよく。
……それでも、やっぱり、どうしてもオリキャラなので、作者としては、他のキャラとは違うところで、いろいろ気になるわけです。
 
私自身のキャラ作りの視点から、もう、絶対にハッキリさせないと落ち着かない、と思ったのが、「ラストの饅頭屋対瓦版屋、二人は、どっちが強いと思って対峙していたのか。相手を斬れると思っていたのか」。私がそういうシーンを書くなら、そこはハッキリ決めてからじゃないと、書けません。
 
なので、あのシーンを何度も見るうちに、「私の世界のキャラなら、そこをハッキリさせてくれ」と思うようになりまして、とうとう、我慢できず、ご両人に聞きました。「相手を、斬りますか? 斬れますか?」。「余計なことするようなら斬るつもりで仕掛けてるんで、何かあったら斬ります。斬れます」と答えたのが、饅頭屋。「斬る理由がないので斬りません」と答えたのが、瓦版屋。「でも、饅頭屋にガチで仕掛けられたら?」とさらに聞いたところ、「その場合は応じるけれど、刀が刃こぼれするくらいまでやりあっても決着つかず、互いに引くと思う」とのこと。……「からみがくどい」原作者ですみませんでした。でも、すっきりしました。荒木さん、佐藤さん、ありがとうございました。あ、ちなみに、それぞれ別の機会におうかがいしたので、互いの答はご存じありません。それぞれのキャラとして、こたえてくださったと思います。
 
ちなみに、オリキャラの生みの親と思われる、演出の錦織さんにも、そういう質問をしてみたんですが、「瓦版屋の必要性」を、舞台転換、演出効果などの観点から専門的に語ってくださいまして、それはもう面白かったのですが、でも、「で、饅頭屋とどっちが強い設定ですか」と重ねては聞けませんでした。舞台的には、あそこは、扇治郎さんが着替えて出てくる間をつなぐ意味合いがあるそうで、それはまあ、大事ですし、常にそういう視点を持つ舞台の方と、小説を作る者との、物語へのアプローチの違いが実感できたことは貴重な体験でしたので、あとは、こちらで脳内保管することにします(^^;)。
 
東京公演の半ば、北翔さんの楽屋にご挨拶にうかがったときのことなんですが。「これが終わっても、続編とかやりたいですね」という話になりまして。「私、うり二つのお兄さんもできます。二役でやりますよ!」と言われたのが、とても印象的だったし、うれしかったです。そっか、そうすれば、本当にうり二つのお兄さんが存在可能になるんだ! 麗しい弓月王になる! 目からうろこでした。これこそ、「さすが宝塚」であり、「さすが、北翔海莉!」ですね。
 
……そろそろ、〆めますね。
でも、その前に。
 
今回の舞台、北翔さんを初め、役者さんのファン、という方が、大勢、足を運んでくださったと思います。原作をご存じない方が、ほとんどだったかと。
私も、演劇ジャンルではありませんが、三十年、愛し続けているひとを持つ身で、そのひとに会うためのチケットをとって、幕が上がるのを待ちわびて……という気持ち、すごく、わかります。
そういう方の何人かと、劇場で少しお話する機会を得て、思いました。
あなたの大好きなひとが、私の作品世界の人物を演じることを、喜んでくださって、本当に、ありがとう。
この出会いがうれしかったのは、私のほうです。
 
 
そして、最後になりましたが。
 
この作品を見守ってくださった、洪庵先生の子孫である緒方家の方々と、和宗総本山四天王寺の方々に、篤く御礼を申し上げます。
洪庵先生と、四天王寺さん、この偉大な人物、偉大な寺院への尊敬の念が、この作品の基です。
本当にありがとうございました。
 
 
改めまして。
「蘭 緒方洪庵・浪華の事件帳」に関わってくださったすべての方に。
私の作品を選んで舞台にしてくださった、松竹株式会社のみなさま。
演出家の錦織一清さま、脚本の松田健次さま、音楽の岸田敏志さま。
そのほか、すべてのキャスト、スタッフのみなさま。
劇場に足を運んでくださった、みなさま。
 
原作者として、心より、御礼申し上げます。
ありがとうございました。
 
舞台「蘭」、大好きです!
 
 

5月6日、大阪松竹座、「蘭 緒方洪庵・浪華の事件帳」初日の初回。
 
見終わったあと、本当に胸がいっぱいで。
ちょっと、座席に突っ伏して、「あー、これ、このまま楽屋挨拶いったらやばいなー、取り乱してしまうなー」と思ったりしました。……実際には、待ち時間があったりして、一応、冷静さは取り戻しましたが。たぶん。取り戻していたはずですが。
 
見所は本当に、たくさん、たくさんあって。
数え切れないくらいなんですが。
 
初見で、ともかく泣けたのが、ラスト近くの、花道での在天二人の口上でした。
一般的な泣き所とはちょっと違うかなと思うんですが、「在天別流」の生みの親としては、こみ上げるものがありまして、ちょっと、こらえきれなかった。
 
小説世界の在天別流は、ああいう名乗りをあげたりはしません。
でも、一族の胸の内にある「誇り」を、形にすると、こうなるのかと。私も知らなかった、在天の矜持を、はっきりと見せてもらえた気がして。
 
また、個人的な思い入れですが、在天別流という存在を書いたことで、私はプロ作家になれたので。だから、すべての始まりだったものが、形になって目の前にあらわれたことで、いろんな思い出が目の前を通り過ぎていきまして。……特に、ドラマ版以降のこととか。
 
いろいろあったけど、ふんばって生きてきてよかった。
そう、思いました。
 
……なんか、ホントに個人的な話で、すみません。
 
この、在天の口上と、それから、一幕終わりの、左近の歌と章の舞。
これを、目に焼き付けなければと思ったから、とりあえず、初日の夜公演もお願いして見せていただきましたし、次の日の昼公演も、その日のうちにWEB松竹でとりました。初日の昼夜が、一回後方席だったんで、二階で何やってるのか、まったく見えなかったため、二日目昼は二階席をとりました。夜公演、アフタートーク回は、初めから予定していた通り、友人たちと一緒に見ました。
 
結局、何回行ったか、あまり人には言えないくらい、行きました。
模範的な原作者とか、平均的な原作者とか、関係者に呆れられない原作者とか、そういうのを目指そうという気持ちは、途中で捨てまして、ただ自分が後悔しないようにしよう、と。
 
前の記事で書いたように、「蘭」の世界は、原作のものとはかなり違います。
それでも、私が書きたかった大坂の町や、そこで生きるキャラの基本はぶれていなくて、「ああ、原作を大事にしてもらってるな」と感じました。「ここは変わってもいいけど、ここだけは変えないでくれ」と、言葉にして言ったことはないのに、ちゃんとそうなっていたので。
 
だから、左近ちゃんの浪華講案内がなぜか名人芸の域に達していたり、章がコミカルに役人手先と絡んでいたり、天游お定夫婦がめちゃくちゃ笑える夫婦だったり、若狭が五重塔の上からぶんぶん手を振ったりしても、それはそれでありかなと。
 
どれも、脚本の段階ではびっくりしましたし、正直に言えば、稽古場見学の時点でも、まだ少し、引っかかった箇所はあったんです。でも、本番になると、役者さんの百パーセントの「芸」が、そこにかぶさってくるので。「あー、これを活かすための、このシーンだったのか」と。
 
たとえば、加島屋さんのゴムパッチン。年末の打ち合わせの段階では、プロデューサーさん、「やりません」と明言されてたんです。でも、実際に舞台の上に加島屋さんが出てきた場合、見られるか見られないかって言ったら、そりゃ、見られたほうが楽しい(「やらないって言ったじゃないですか」とは思いましたけど・笑)。
 
そういう選択の一つ一つが、私の感覚と合っていたから、この舞台、すごく納得したし、好きになったんだと思います。
 
あと、実は、結構大きかったのが、「耕介とおあきが幸せになってる」こと。これは、うれしかったなあ。二人が幸せそうによりそっている、そういう世界線があるだけで、うれしかった。本当にけなげでかわいいカップルになっていて、見ているだけで「にっこり笑顔」になれました。
 
他も、たいていのキャラは、立ち位置が大きく変わっています。原作の「禁書売り」「神道者の娘」「北前船始末」をごちゃ混ぜにして二時間半にまとめたのが、「蘭」ですから。
 
でも、たとえば、船頭さんも、おゆきちゃんも、設定は変わっても、根っこのところは変わっていなくて、二人の港でのシーンは、卯之助のおっちゃんの立ち回りのかっこよさもあいまって、お稽古場から涙ぐんでました。
 
役人コンビの存在感も抜群で、同心の新井様は、コミカルなのにどこか粋で、「どこがどうなったらあれだけ粋に歩けるんだろう」と、毎回、こっそりじっくり観察してました。
 
手先の半治は、登場するだけで彼の周りに喜劇ワールドが生まれるってくらい、何から何まで完璧な笑いを起こすキャラで、「新井様付き、手先の半治や」の名乗りのたびに、拍手したくなりました。
 
思々斎塾のトラさん、ウシさんは、天游先生夫婦とホントに仲よさそうで、耕介ぼっちゃんのことも、ぼっちゃん扱いしているようで、平気で漬物石運ばせたりしていて、塾があったかい場所なんだなと、自然に伝わってきます。トラさんと半治さんの「実は……」のシーンも大好き。ラストで、トラさんが半治に声をかけるのが、またいいんです。
 
忘れちゃいけない、ケモノ一家。お稽古場では、名もないゴロツキだったんですが、本番でいきなり、楽しいケモノ一家になっていて、人気も急上昇で。同じ方々が、長州の椋梨さま軍団もされているんですが、あんなに愛されるやられ役ってないのでは、という存在でした。椋梨様コール、楽しかったなー。ケモノ一家さんが、それぞれ、塾生の時や、椋梨さま軍団で、どのポジションにいるか等々、探すのが、楽しみの一つにもなりました。
 
その、軍団のボス、椋梨さま。左近ちゃんとの対決シーンは、毎回、息をのむ迫力でした。その前に、部下に名前呼ばれまくっている姿は、なんだかかわいいお武家さまなんですが、刀を抜くと、すごい。
 
その緊迫したシーンに笑いをもたらす、山城屋の婆。一緒に見た友人知人のなかで、「いちばん印象に残ったのが山城屋の婆」というひとが、二人いました。すごい。
 
瓦版屋。メインキャラで唯一の、舞台のみのオリジナルキャラ。本音を言えば、彼のキャスティングが決まったときに、「えー、イケメン増やせるなら、オリキャラじゃなくて、弓月やってくれよ〜!」と思ったりしました。すみません。兄上が出ないことを、まだ諦めきれていなかったので。でも、初回を見終わって、楽屋でお会いし、「オリキャラなんで……」と、ちょっと遠慮がちに言われたときには、「あ、忘れてた、作品になじんでるから、なんか、うちの子みたいに思ってた」と、素で言ってしまいました。「蘭」という作品には、欠かせないキャラでした。
 
そして、圧倒的存在感の、悪徳商人、山城屋。登場シーンの、「よろず商い、山城屋忠兵衛でございます」だけで、にじみ出る「わー、何かやりそう」感。港でのシーンも、回を追うごとに、うさんくささ倍増。椋梨様の肩に手をかけて、「もうかりまっせ」と語りかける顔の、悪いこと悪いこと!
私が書いた、本屋の山城屋は、そこまで悪いキャラじゃなかったはずですが、もう、何倍もグレードアップした悪人になってくれて、「えらい出世しはったなあ」とほれぼれ見つめていました。
 
どのキャラも、確かに違うんだけど、それでも私の世界と溶け合ってるなあ、と思える空間が、「蘭」でした。
 
……ちょっと、長くなったんで、いったん切りましょうか。
 
「まだ続くのよ……」
すみません、もう、ここまで来たら、思いの丈を全部書き切るので、あと一回くらい、続きます。
 
 


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